「年金問題は嘘ばかり」

2018年7月8日 高橋洋一

 

 最近、営業の関係で確定拠出年金についての本をチラチラ読んでいました。しかしまぁ、そもそも年金ってなんぞや。国民年金とは…、厚生年金とは…。基礎を知らずに、発展編から入っても、理解は深まりませんな、ということで、年金について全体的に学ぶことにしました。

 年金について、簡単にわかりやすくまとめてくれた本はないかと本屋をウロウロしていたところ、この本に出会いました。タイトルによると、年金問題は嘘ばかりだそうです。

 年金問題など実は存在せず、公的年金は完璧な制度なのであれば、わざわざ確定拠出年金の営業にいっても仕方ない。はたして、本当に嘘ばかりなのでしょうか。

 

◼️年金がほぼわかる3つのポイント

 大勢の人が、「年金がヤバい」と思っている。しかし、なぜ「ヤバい」のかを知った上で「年金ヤバい」と言っている人は殆どいないだろう。皆、年金が危ないと煽る人たちに誘導されているのではないだろうか。

 年金が危ないと煽ったほうが徳をする人々が存在する、ということを知っておこう。年金制度と増税を絡めたい財務省、保険商品を売りたい金融機関などなど。

 こういう奴らに流されないためにも、年金の基本を押さえておくべきだ。

 ・年金の本質は保険

年金は、社会福祉だという印象が強い。年金は老後を補償してくれる制度だと。しかし、そうではない。年金は保険だ。保険とは、加入者が資金を出し合い、加入者のうちである条件を満たしたものが資金を受け取る、というシステムだ。年金についても、公的年金は加入者は全国民であり、資金を受け取る条件は長生きすることだと考えると、保険であるとわかりやすいだろう。

 

 ・「ねんきん定期便」はしっかり確認

会社員の場合、公的年金の支払いは会社側が給料天引きでやってくれる。しかし、会社は本当に年金保険料を国に納めてくれているだろうか。しっかり国が受け取ったかどうかは、ねん感定期便で確認する習慣をつけよう。企業が実は保険料を納付せず、運転資金に回していたとういケースも多々ある。

 

◼️少子化ゆえに年金制度が破綻する件

「X人で1人の高齢者を支えなくてはならない」という話はよく聞く。しかし、年金制度において重要なのは、人数ではなく金額だ。人口が減っても、経済成長によって1人当たり所得が増えていけば年金制度は機能する。

 

◼️だいたい貰える年金は?

 年金は20-60歳までの40年支払って、60歳から余命までもらいます(だいたい20年)。支払い期間と受け取り期間が2:1の割合なので、単純計算でいくと、年金月間受取額は、年金保険料月間支払額の2倍でしょう。年金保険料は所得の2割程ですが、会社員なら会社と折半なので1割というところです。これをもとに、自分の給与明細から、将来貰える年金額を考えてみましょう。その計算結果を見て、足りないと思うならば、個人的に備える必要があります。