「はじめての確定拠出年金」

2018年7月3-5日  朝倉智也

 

 最近は、商業銀行員であっても、信託銀行の商品を売りにいかないといけないのです。なので、今回はDC年金セールスのためにこの本を買いました。DC年金は、資金の管理・運用を外部金融機関に委託することが一般的です。信託銀行や保険会社は、この委託を受けることで、手数料収入を得ることができるわけです。

 

 DCをセールスするにあたって、兎にも角にも退職金の話に持って行きたいわけです。最近は、日経新聞などのメディアでもよくDCが取り上げられているので、話題にしやすいですね。まぁ、なぜ話題になっているのかは知っておくべきですかね。

 

そもそもの年金制度の仕組みを確認しておきましょう。年金は「3階建ての建物である」とよく言われます。

一階部分は国民年金です。国民年金は、全員強制加入です。20-60歳まで保険料を払えば、毎月6万円ちょいもらえます。まぁたりませんね。

二階部分は厚生年金です。サラリーマンや公務員が加入します。

3階部分がDCDB年金などとなります。

 

 DC年金を採用する企業は増えています。採用するメリットとしては、①給付額は個人の運用結果に基づく自己責任なので、確定給付年金よりも企業にとっては負担がない ②福利厚生に力をいてれいる感がでるので、人材確保に役立つ、といったところでしょうか。近頃は金融緩和の影響もあって株高が進み、運用環境が良いので、DC採用に関する労使の合意も得やすいのでしょう。

 

ただ、メリットばかり強調されているDC年金ですが、背景には既存の年金制度維持の限界が見えます。国民年金は、積立方式ではなく賦課方式であるため、現役世代の払った保険料がそのまま現在の年金支給に当てられています。この構図は、高齢化社会に対応していません。近い将来、公的年金は立ち行かなくなるでしょう。

 公的年金を補完する意図でつくられた確定拠出年金ですが、これは企業側が一定の拠出額に責任を持つこととなります。昨今の低金利時代では運用益を上げることは難しく、企業の負担が重いのです。

国もダメ、企業もダメ、じゃあ最後は個人の自己責任で老後の年金を運用してもらおう。そういうことではないでしょうか。

 

まぁ、背景はどうあれメリットは確かにあります。

①運用益が非課税(通常20%くらい)

②掛け金全額所得控除

運用益そのものよりも、税的優遇が大きいでしょう。

 

しかしもちろんデメリットもあります。

①素人に運用益を出せるか?(実際、元本保証の定期預金的なものにしている人多数)

②60歳を越えるまで引き出せない

③途中でやめれない