「明日の子供達」

2018年7月17日  有川浩

 

 先週、友達におススメの本を聞いたら、有川浩さんの「キケン」がいいよと教えてもらいました。早速本屋で買って読んだのですが、その日中に一気読みしてしまいました。読みやすい文章ながら、心に響き考えさせられる、そんな一冊です。

 そして前日、後輩の女の子におススメの本を聞いたら、有川浩さんの「明日の子供達」がいいよとのこと。有川浩さん、すごい支持されてるな…、としみじみ思います。こういった背景があるので、僕の中では有川浩さんは、紹介してもらった作家さん、です。読書の楽しさは、本にまつわる思い出が蓄積されていくところにもありますよね。

 さて、「明日の子供達」は児童養護施設を舞台とした長編小説です。主人公は、新任教師。元営業マンでヤル気十分な男性です。物語は、彼が児童養護施設に着任するところから始まります。彼を中心としながらも、物語が進むにつれて、さまざまな登場人物の心情・背景が深く描かれていきます。登場人物の会話や葛藤を通して、児童養護施設という特殊な状況で生きること、自分とは大きく違う環境で生きる人々とどう生きるかということを考えることができました。

「年金問題は嘘ばかり」

2018年7月8日 高橋洋一

 

 最近、営業の関係で確定拠出年金についての本をチラチラ読んでいました。しかしまぁ、そもそも年金ってなんぞや。国民年金とは…、厚生年金とは…。基礎を知らずに、発展編から入っても、理解は深まりませんな、ということで、年金について全体的に学ぶことにしました。

 年金について、簡単にわかりやすくまとめてくれた本はないかと本屋をウロウロしていたところ、この本に出会いました。タイトルによると、年金問題は嘘ばかりだそうです。

 年金問題など実は存在せず、公的年金は完璧な制度なのであれば、わざわざ確定拠出年金の営業にいっても仕方ない。はたして、本当に嘘ばかりなのでしょうか。

 

◼️年金がほぼわかる3つのポイント

 大勢の人が、「年金がヤバい」と思っている。しかし、なぜ「ヤバい」のかを知った上で「年金ヤバい」と言っている人は殆どいないだろう。皆、年金が危ないと煽る人たちに誘導されているのではないだろうか。

 年金が危ないと煽ったほうが徳をする人々が存在する、ということを知っておこう。年金制度と増税を絡めたい財務省、保険商品を売りたい金融機関などなど。

 こういう奴らに流されないためにも、年金の基本を押さえておくべきだ。

 ・年金の本質は保険

年金は、社会福祉だという印象が強い。年金は老後を補償してくれる制度だと。しかし、そうではない。年金は保険だ。保険とは、加入者が資金を出し合い、加入者のうちである条件を満たしたものが資金を受け取る、というシステムだ。年金についても、公的年金は加入者は全国民であり、資金を受け取る条件は長生きすることだと考えると、保険であるとわかりやすいだろう。

 

 ・「ねんきん定期便」はしっかり確認

会社員の場合、公的年金の支払いは会社側が給料天引きでやってくれる。しかし、会社は本当に年金保険料を国に納めてくれているだろうか。しっかり国が受け取ったかどうかは、ねん感定期便で確認する習慣をつけよう。企業が実は保険料を納付せず、運転資金に回していたとういケースも多々ある。

 

◼️少子化ゆえに年金制度が破綻する件

「X人で1人の高齢者を支えなくてはならない」という話はよく聞く。しかし、年金制度において重要なのは、人数ではなく金額だ。人口が減っても、経済成長によって1人当たり所得が増えていけば年金制度は機能する。

 

◼️だいたい貰える年金は?

 年金は20-60歳までの40年支払って、60歳から余命までもらいます(だいたい20年)。支払い期間と受け取り期間が2:1の割合なので、単純計算でいくと、年金月間受取額は、年金保険料月間支払額の2倍でしょう。年金保険料は所得の2割程ですが、会社員なら会社と折半なので1割というところです。これをもとに、自分の給与明細から、将来貰える年金額を考えてみましょう。その計算結果を見て、足りないと思うならば、個人的に備える必要があります。

「はじめての確定拠出年金」

2018年7月3-5日  朝倉智也

 

 最近は、商業銀行員であっても、信託銀行の商品を売りにいかないといけないのです。なので、今回はDC年金セールスのためにこの本を買いました。DC年金は、資金の管理・運用を外部金融機関に委託することが一般的です。信託銀行や保険会社は、この委託を受けることで、手数料収入を得ることができるわけです。

 

 DCをセールスするにあたって、兎にも角にも退職金の話に持って行きたいわけです。最近は、日経新聞などのメディアでもよくDCが取り上げられているので、話題にしやすいですね。まぁ、なぜ話題になっているのかは知っておくべきですかね。

 

そもそもの年金制度の仕組みを確認しておきましょう。年金は「3階建ての建物である」とよく言われます。

一階部分は国民年金です。国民年金は、全員強制加入です。20-60歳まで保険料を払えば、毎月6万円ちょいもらえます。まぁたりませんね。

二階部分は厚生年金です。サラリーマンや公務員が加入します。

3階部分がDCDB年金などとなります。

 

 DC年金を採用する企業は増えています。採用するメリットとしては、①給付額は個人の運用結果に基づく自己責任なので、確定給付年金よりも企業にとっては負担がない ②福利厚生に力をいてれいる感がでるので、人材確保に役立つ、といったところでしょうか。近頃は金融緩和の影響もあって株高が進み、運用環境が良いので、DC採用に関する労使の合意も得やすいのでしょう。

 

ただ、メリットばかり強調されているDC年金ですが、背景には既存の年金制度維持の限界が見えます。国民年金は、積立方式ではなく賦課方式であるため、現役世代の払った保険料がそのまま現在の年金支給に当てられています。この構図は、高齢化社会に対応していません。近い将来、公的年金は立ち行かなくなるでしょう。

 公的年金を補完する意図でつくられた確定拠出年金ですが、これは企業側が一定の拠出額に責任を持つこととなります。昨今の低金利時代では運用益を上げることは難しく、企業の負担が重いのです。

国もダメ、企業もダメ、じゃあ最後は個人の自己責任で老後の年金を運用してもらおう。そういうことではないでしょうか。

 

まぁ、背景はどうあれメリットは確かにあります。

①運用益が非課税(通常20%くらい)

②掛け金全額所得控除

運用益そのものよりも、税的優遇が大きいでしょう。

 

しかしもちろんデメリットもあります。

①素人に運用益を出せるか?(実際、元本保証の定期預金的なものにしている人多数)

②60歳を越えるまで引き出せない

③途中でやめれない

 

 

 

 

「銀行員はどう生きるか」

2018年6月20-26日  浪川攻

 

銀行に変化の波が押し寄せている。収益環境の悪化により、何とかして稼が続ける道を探している。メガバンクの戦略は、コスト削減と関係会社全体の収益力向上だろう。しかし、顧客の利便性を無視したコスト削減を進めたり、融資という本業をおろそかにした関係会社紹介を進めていては、顧客の不信感が募っていく。銀行に辛うじて残っている、信頼感安心感を失ってはいけない。

 

◼️いま銀行業界でなにが起きているのか

 邦銀3メガバンクは2017年11月にそろって大量人員・業務量削減方針を打ち出した。国内リテール部門の赤字、国際部門の縮小により、大幅な収益力改善が求められたのだ。銀行の収益環境は非常に厳しい。本業である預貸業務は低金利下にあって利ざやをとれない。人口減少・後継者不足により経営基盤は崩れつつある。この状況下において、これまでの労働集約的な高コスト業務わ続けることができなくなってきた。

 コスト削減は、リテール部門においては店頭作業を減らし、業務を事務センターに集約することで、人員を削減する。法人部門では、本部の非採算部門のロボット化を進める。これらの施策によって浮いた人員を、営業に回すことで、コストを抑えつつ売り上げのトップラインをあげる。

 

◼️銀行じゃなくてもいいという現実

 メガバンクの思惑通りにコスト削減ができたとしても、銀行でなくてもバンキングサービスを提供できるという現実に対応しなくてはならない。

 現状、フィンテックプレイヤーが参入してきている分野は、個人の決済・運用である。決済の場が銀行から移るということは、決済情報の蓄積ができなくなるということだ。個人決済が奪われれば、個人向けローンも奪われる。芋づる式に、銀行業務は奪われていく可能性がある。

 

◼️米銀はどうなのか

 米銀は、リーマンショックが直撃したため、収益環境が悪化し、2008-2016年にかけてコスト削減を進めた。リーマンショックの影響が小さかった邦銀よりも、コスト削減に早く取り組んでいたといえる。

 米銀も邦銀も、店頭の人員削減を進めてきたという点は同じだ。しかし、邦銀が店外ATMやインターネットバンキングといった低コストチャネルに顧客を誘導し、店舗削減を進めたのと異なり、米銀は店舗を増やしている。米銀は、伝統的なフルサービス店舗を減らす一方で、小型軽量の店舗を増やしたのだ。

 米銀は、銀行の最大の武器を理解している。このデジタル時代においては、革新的なフィンテックサービスを提供したとしても、すぐに陳腐化してしまう。終わりのない競争を続けることとなる。そんな中で銀行が顧客を獲得し続けるには、対面ビジネスの質の高さで勝つに限る。

「事例に学ぶ貸出判断の勘所」

2018年6月10-23日  吉田重雄

 

銀行で働き始めて一年ちょっと経ちました。近頃思うのは、営業に置ける貸出業務の比重低下です。担当先企業について考えるとき、どうやって貸出をしようか、既存の貸出の保全は大丈夫なのか、といったことに知恵を絞る比率は低いです。もっぱら、関係会社をどうやって紹介しようか、リテール担当員をどうやって連れて行こか、と言ったことにばかり気を取られています。

たしかに、銀行の外部環境を考えると、貸金収益は減っており。貸出にばかり頼っていられません。グループ全体で収益を上げるべく、営業スタイルを変える必要があります。

しかし、企業側からすれば、銀行の担当者はあくまで銀行の担当者であり、フィナンシャルグループの窓口として認識してはいないでしょう。企業が求めるのは、適切な融資対応です。

にも関わらず、銀行は若手に十分な融資知識を習得させる暇もなく、多種多様な収益項目を課しています。これでは、いざ、融資が必要となったときに、迅速適切な対応ができないでしょう。

銀行営業マンは、融資知識を自助努力で習得しなくてはなりません。そんな思いから、本書を開きました。

 

◼️貸出判断の勘所

 筆者は、融資担当者の貸出判断能力の低下に強い危機感を抱いています。定量データ・保証・担保に頼りきりで、資金使途もろくに検証できない担当者が増えています。そんな状況なのに、銀行が新人に取得される資格は、証券外務員なのです。現在の融資担当者の職務範囲は広すぎます。まずは、仕事の軸である貸出業務に専念すべきなのです。

 

◼️貸出業務の王道

 貸出は、低金利の昨今においても銀行の収益の柱です。ストックビジネスである融資業においては、健全な貸出残高を増やすことこそが、収益を支えることとなります。

 融資担当者は、融資は貸した金が返ってきてはじめて完結するという意識を持たなくてはいけません。この意識を持っていれば、必然的に資金使途の確認が重要となってきます。資金使途によって、貸出の条件は決まっていくからです。

 

◼️資金使途別借入申出検証

・経常運転資金

企業側からすれば、運営に必要となる資金は全て運転資金なので、さまざまな費用が運転資金といえる。しかし、銀行は基本的に企業の仕入れ→生産→販売→回収という商流の中で発生する資金不足を運転資金とする。商流の中での資金不足とは、いまだ資金化されていない在庫や債権を、資金負担とみなしている。

 

・経常運転資金の長期貸出

長期金利が適用でき、継続に際してのじむこすとも削減できるが、債権保全という観点からは不適切だ。経常運転資金の必要額は、企業の業績によって都度変化するため、長期の約定弁済付き貸出は資金使途とマッチしていない。長期貸出するなら、返済に対して、都度の必要運転資金までを折り返すこととなる。

 

・増加運転資金

増加運転資金の発生要因は、売り上げの増加・売買条件の変化に分類される。後者の要因の場合は、企業にとっては、好ましくない。増運発生の場合は、金額の妥当性・発生原因の精査が必要。売買条件の変化が原因ならば、条件交渉によって、資金繰りを改善出来ないかまでディスカッションすべきだ。

 

・肩代わり資金

肩代わり資金というのは、資金使途ではない。当初の資金使途を把握する必要がある。もし、資金使途が、決算資金や季節資金といった、短期返済すべき資金であるならば、肩代わりには適さない。

「融資渉外スキルアップ」

2018年6月1-10日  東出泰雄

 

 私、銀行の営業をしておりまして。日々、法人に営業をかけているのです。そんな私も、入社して早く一年。一年も銀行で働いたのだから、企業に融資の話をしに行くくらいはできるのだろうと思いきや、全くできません。自行の金利すらあやふやな状態です。なぜこんな状態なのか…。自分の不勉強が原因なのは間違いないのですが、別な理由もあるのです。

 それは、銀行における融資業務比重の低下です。いまや銀行は、融資よりも関係会社紹介に力を入れています。紹介手続きや、勉強会に時間をとられ、貸出業務に割く時間が減っているのです。

  融資の基礎は、自分で学ぶしかない…。というわけで、本書を手にしました。

 

◼️資金の種類

 融資セールスするためには、まずどのような資金需要が想定されるのか、把握しておく必要があります。主な区分けは以下の通り。

・経常運転資金

・増加運転資金

・決算資金

・賞与資金

・季節資金

・在庫増加資金

・他行肩代わり資金

・設備資金

 

◼️資金ニーズの発掘

 上記のような資金使途があるとして、ではどうやってニーズが顕在化するのでしょうか。具体例をあげます。

・製造原価に占める、外注費の増加

 内製化により、管理コストダウン・技術蓄積を図る。

 →設備資金・M&A資金

・修繕費が多い

耐用年数が近くなっているため、買い替えや大規模改修の可能性。

 →設備資金

・原材料費の向上

 上昇分だけ、仕入れコストが上がる。安いうちに仕入れておく。仕入先への支払い条件短期間でによりコスト相殺を図る。

→増加運転資金

・経営者からの借り入れがある

 相続の観点から、金融機関借り入れにシフト

→運転資金借り換え

長期金利動向から、変動・固定管理の切り替え

 金利上昇傾向であれば、変動金利から固定金利に切り替えることによる、将来金利コスト抑制需要が想定される

→他行肩代わり

売上債権回転期間の長期化

 販売先との支払い条件変更の可能性。売上増加もありうる。

→増加運転資金

・決算1-2ヶ月前

→決算資金

 

 

  

「14歳からの社会学」

2018年5月26-28日  宮台真司

 

 宮台真司さんの本を読むのは、これで四作目になりました。どの本を読んでも、目からウロコな見解で溢れています。この感覚は、内田樹さんの作品を読む感覚に近いです。宮台真司さんと内田樹さんは、所々で似た主張をされているように感じます。いまの私では、なんとなく似てる部分がある以上のことは言えないのですが…。

 本作は「14歳からの社会学」というタイトル通り、中学生を対象としています。しかしまぁ…、簡単ではないです。私も今年で25歳なのですが、意味不明な箇所も多々ありました。おそらく、宮台さんも14歳でこの本の全てを吸収できるとは思ってないでしょう。人生の指針として、何度も何度も読みたくなるように、丁寧に作られた本だと感じました。

 

◼️自分と他人

 宮台氏が考える「人が幸せに生きる」ための2つの条件は。まず、「自由」であることです。しかし、自由であるとは、なんでも好き勝手できるということではありません。自由であるための2つの能力「選択肢を知る能力」「選ぶ能力」が大切なのです。

 さらに、「自由」であるためには、その土壌として必要なものが、共同体・個人ともにあります。共同体には、「多様性」が必要です。個人の自由を外的な要因によって妨げられない集団が望ましい。個人には、「尊厳」が必要です。自分に対する「尊厳」があるからこそ、「自由」に活動することができます。

 宮台氏は、この「自由」「尊厳」に「承認」を加えて、1つのサイクルが作られると述べています。「自由」に試行錯誤する→結果、他者からの「承認」が得られる→自分の存在に対する「尊厳」を確保できる→さらに「自由」に試行錯誤する、という好循環です。

 このサイクルが回っていれば、幸せな人生と言えるのでしょう。

 

 しかし、いまの社会では、このサイクルがうまく機能していません。機能していないのは、「承認」の部分です。「承認」は他者から与えられるものですが、現代においては、他者というものがよくわからなくなっているのです。市場経済の拡大に伴い、家族をベースとした地域共同体は崩壊してしまいました。いい学校・いい会社も、もはやいい人生を保証してくれません。誰が「承認」を与えてくれるのか、なにを試行錯誤すればいいのかがわからないのです。

 自分自身で「自由」の目的地を決めなくてはならない。そんな時代なのです。

 

◼️理想と現実

 日本人は、仕事を生活と一体化させる傾向にあります。「自分には向いた仕事があって、仕事は人生に生きがいを与えてくれる」そんな考え方を、無意識に採用している人は多いです。この考え方をしていていいのでしょうか?プライベートも仕事を、全て充実しているはずだ。そうでなくてはいけない。というのは、虫が良すぎるのではないでしょうか。自分は何者で、何がしたくて、何が苦手なのか。自分に必要なものはなにか。それを手放さないために、最低限なにが必要なのか。それを考えるべきではないでしょうか。